透はそう言いながら立ち上がる。嫌そうな声になっていたが、透は本当は事件を調べに行くのが楽しみで仕方ない。

玲奈の車に乗り込み、透と玲奈は県境にある遊園地に向かった。



遊園地は平日のためか、あまり人で賑わってはいない。たくさん乗り物を乗るにはちょうどいいだろう。

透と玲奈は、遊園地を辺りを見回しながら歩いていた。メリーゴーランドやジェットコースターなど、楽しそうなアトラクションがたくさんある。

透は玲奈の方をチラリと見た。小ぶりな襟のシャツにパンツといったシンプルな服装で、長い黒髪を風になびかせている。多くの人は、美しい容姿である彼女が寄生虫学者という職だとは夢にも思わないだろう。

そんな彼女の隣を歩く自分は、一体周りから見られているのか透は気になった。恋人……友人……一体どう思われているのか、気になってしまうのだ。

「宍戸はこういうところに来たことはないのか?」

アトラクションを不思議そうな目で見つめる玲奈を見て、透は声をかける。返ってきたのは、予想通りの言葉だった。