「原因ってやっぱり寄生虫なのかな〜?」

夕食を食べながら、美咲が口を開く。夕食の時にもこの研究所ではこのような会話が飛び交う。すっかり透はグロテスクな会話に慣れてしまった。

「人の体に恐ろしい影響を与える寄生虫は多い。例えば、オンコセルカ・ヴォルバラスという寄生虫は途上国で多くの人々を盲目にさせている。アフリカのギニアムーアは数年かけて人の体の中で成長し、皮膚を彷徨って体中に穴を開ける。その時に焼けるような痛みが走り、宿主は水の中に足を入れる。水に足をつけた瞬間、ギニワアームはその穴から無数の幼虫を放出する。さらにヒツジバエ科の成虫はーーー」

「寄生虫学者でも食事中はもっと普通のことを話そう!!宍戸のせいでハンバーグに手をつけられない!!」

想像しただけでゾッとする話に、透は箸をテーブルの上に叩きつけた。

「透くん、ごめん。あたしが……」

申し訳なさそうに美咲が言う。透は怒鳴ったことに罪悪感を感じ、「すみません」と謝った。