メーティスの心

「この池が怪しい」

それは、ボートに乗ることができる大きな池だった。



ジェットコースターのある場所から池まで透は玲奈に手を引かれて走り続けた。池まではかなり遠い。

普段引きこもって研究ばかりしている玲奈は、どこにそんな体力があるのだと透が驚くほどのスピードで走っていく。後から走る透の体力の方がなくなってきた。

「遅い!もう少し体力をつけて!」

玲奈の言葉に言い返すこともできず、透はゼエハアと荒い息をする。ボートは空いていて、透たち以外誰もいない状態だった。

「乗って行きますか?」

暇そうにしていたスタッフが透たちを見ると慌てて営業スマイルを浮かべる。玲奈が「そうね。乗らせていただいてもいいかしら?」と作り笑いをした。

白鳥のボートに二人は乗り込む。池の中を十分ほど自由に楽しむものらしい。

「ほら、早く漕ぎなさい」

玲奈に言われ、「はいはい」と透はボートを漕ぎ始める。先ほどまで走ってきたためか、少し漕いだだけでも疲れてしまう。