シン、と暗く静まり返った1Kの部屋。
琴音が布団の上で丸まっているのが感覚で分かる。
目が慣れてきて、ハルが部屋の隅でこちらに背を向けている。




「ねぇ、寝た?」


「寝た」


「ぷ。何それ寝てないじゃん」


「今日は飲みすぎた。
それに色々あって目が冴えた」


「あはは!確かに!
それより、こっちに来なよ」


「はぁ?!」


「はぁ…じゃなくてさ。
別にいいよ。一発ヤらせるくらい。泊めてもらうんだし
それにあなた良い人だし、1回くらいいいよ。
そういうつもりで泊めたわけでしょ?」


「何……言ってんの?」



パチン、と電気をつけた。
そこに立っているハルの顔を見て、思わず驚いた。




なんて顔、してんの?


男なんて皆、同じ。
お金が絡もうと、そうじゃなかろうと。
だからこそわたしたちの職業が成り立つのであって、軽蔑なんかしたりしない。
この世界に愛があるのは知っているの。皆、それを求めては生きているのも。
でも愛と同じくらい、醜い感情があるのも知っている。