ことね、と言いかけた時、琴音は思いもよらなかった行動を見せた。


にゃーん、といつものように甘えた声を出して
今日初めて会ったはずの彼女の頬をペロペロと舐めている。


ぽかーんと口を開けた彼女が、琴音に何か話を掛けている。
そしてゆっくり起き上がると、琴音はニャと小さく鳴いて、そして彼女の肩へと軽々飛び跳ねた。




?!!!!!




優弥の事も嫌いだったみたいだし、山岡さんに関しては帰るまで威嚇し続けた。
その琴音が彼女の背中から肩に掛けて乗っかって、そこで寛ぎながら自分の体を舐める。



…人間嫌いではなかったのか?



「えぇ?!何なん?!」


びっくりした様子の琴子は、背中に猫が乗ってるせいか自由に身動きを取る事が出来なくなり
頭だけ上げて、俺の方へ視線を送る。


「可愛いんだけど!!!!!」


そして口を横に大きく広げて、豪快に笑う。


「ご、ごめん!
突然驚いたよね?!」


彼女の背中に乗った琴音を抱き上げると、琴音は不服そうな顔をして俺を睨んだ。


「えー全然!
何この可愛い生き物は?!
一瞬ここが天国で、天使かと思っちゃった!!」




琴音は俺の手からぴょんっと飛び降りて、彼女の方へ歩き出したかと思えば
彼女の体に自身の体を擦り付ける。
ゴロゴロと喉を鳴らしながら。