「ハァ、ハァ」


電車をいくつか乗り継いで
走って、息切れをしても走り続けて
懐かしい風景が見えてきた。
ハルと何度も歩いた道で、全てハルとの思い出で溢れている。


オートロックはいとも簡単に解除出来た。
可笑しいかな?これから振られにいくかもしれないけれど、この鼓動は喜びで胸を弾ませていくんだ。
悲しみとか、苦しみとかそういった類のものではない。ただただあなたに会えるのが嬉しくて、顔を見たくって、会いたくて堪らなかったんだとやっと気づけた。


呼吸を整える間も勿体なくて
毎日のように帰ってきていた家の扉に手を掛ける。





―――まだ、届けていない言葉たちが沢山ある。






会いに行く
伝えに行くよ。
世界の誰よりもあなたが好きだって
沢山の優しさと木漏れ日のような温かさをくれた事
出会えて、どれ程嬉しかったか
共に過ごした日々が幸せだったか
わたしをどれだけ変えてくれた人だったかと
そして
あなたがこんなにも好きだって
あの日、置き去りにした言葉たちを、迎えに行くから。