わたし、猫のようになんて生きれない―――
うれしかった事だけを上書きしていって生きていければそれはそれで幸せだったかもしれないけど
ハルがくれる物だったら、痛みや悲しみだって、その一欠片だって忘れたくないんだもの。
この胸の中に刻み込ませて、ひと時だって忘れないように。


だって笑えない。
どうしてもハルが好きだといってくれた笑顔は、ハルにしか彩れないものだと
もう、気付いてしまったから。


けれどたとえばハルがわたしの気持ちを受け入れてくれなくて
もしかしたら、そこにはハルの大切に想う新しい住人がいたとして
どうしてここに来たんだよって怪訝な顔をされたとしても
この嘘偽りなき想いを、曇りなき好きという気持ちを伝えられたのならば、ハルがわたしを受け入れてくれなかったとしても
もう一度、心から笑える気がする。
どんな結末を迎えても、青空だって曇り空の日だって、雨が降っていても闇夜に月が隠されてしまったとしても
この空を見上げて、心の底から、豪快に笑える気がする。