【完】ボクと風俗嬢と琴の音


ズボンのポケットの中にしまいこんでいた携帯。
その存在をすっかり忘れ去られてしまっていた携帯。
水をたっぷりと吸い込んで、お亡くなりになられていた。

それを見た大輝はふんっと鼻をならして「ざまぁ」とわたしがさっき言った言葉そっくりそのまま返してきた。


「ひどいよぉーーーーー。最新機種だったのにぃいいい
大輝のせーじゃんか!」


「いや、俺のせいじゃないだろ。
お前が海に俺を沈めてきたんだから、どっちかーつとお前の責任じゃねぇか。
それに俺は携帯は車ん中に置いてきてあるもんね」


「うわぁぁぁぁぁぁぁん。
ハメられたぁ!!!!」


「はぁ?!ハメた?!何故俺が?!
海へ落としたのはお前だろが!
自業自得だろう」


「うわぁぁぁあああああああああん」


そうこれは自分のせい。
それは分かってる。
それでもイマドキの子だから携帯がないと困ってしまうよ。
何度振ろうが叩こうが電源のつく気配はない。
これは中からイかれてしまったに違いない。
汚い砂浜の上で、何度点けてもうんともすんともしない携帯を持って子供みたいに駄々をこねた。


「分かったから、買ってあげるから。
そんなもん安い」


「これ最新機種だよ?!」


「ハイハイ。今秘書に電話して買ってきてもらうから。
たくッ」


電話を掛けようとした大輝から携帯を奪い取った。