本気で嫌そうな顔をした大輝の腕を引っ張ったらその拍子にバランスを失って
ふたりで倒れ込むように波打ち際に尻もちをついた。
大輝の頭から足先まで、高級ブランドで埋め尽くされたその全てがべちゃべちゃになって、その姿を見たら何故だか笑えてきた。
「あーはっはっはっはっ!!」
「ざけんな!」
尻もちをついたまま、大輝がわたしへと水を掛ける。
何をっ?!
それならばこちらは倍返しだ。
手の平いっぱいに水をすくいあげて、それを思いっきり大輝の頭から掛ける。
大輝もいつの間にか笑っていて、わたしも大笑いで、秋の晴天の下、大の大人が服のまま水を掛け合って全身びしょ濡れになってしまったけど
それはそれで楽しかった。
「あぁ、クソッ。
お前のせいで
これじゃあ車に乗れねぇー…」
「きゃはははっ。楽しかったぁ~。
あたしの服は安いから別に濡れても全然へーきだもん」
「お前なぁー……」
「大輝のはブランド物だもんね。ざまぁッ」
「ふん。別にこんなもん安もんだ。それに暫く放っておけば乾くだろ。
これは帰ってから捨てる」
「嫌だわーこれだから金持ちつーのは、物を大切にしなくてほんっと嫌な感じだわぁー。
まぁあたしはまた洗濯して着るけどねぇ。
てぇ!!!あああああああ!!!!!」
「どうした?」
「さい、あく……」



