大輝が連れてきてくれたのは、海だった。
ロマンチストかよ、と突っ込みたくはなったけれど、東京の海は綺麗とは言えたもんじゃない。
これがエメラルドグリーンに輝く透き通った海で、白い砂浜であったのならば最高だったのだけど、とても綺麗とは言えない東京の海だって、太陽の光りを精一杯浴びて、水面が宝石のようにキラキラと揺れている。
それも悪くはない。
「海とか…またベタな……」
秋晴れの今日。
何組かのカップルと家族連れ。
こんな綺麗とはとても呼べない海を見て、それでも彼らは幸せそうな顔をしている。
履いていたスニーカーを脱いで、水に足をつけると、それは足先からじんわりと冷たい。
大輝は呆れたように少し遠くからこちらを見つめていて
わたしは「おーい!」と言って大輝を呼ぶ。
渋々こちらへ歩いてくる大輝の腕を引っ張ると「やめろっ」と言って打ち付けてくる波を避けながら歩く。
「ほんとやめろ、汚い」
「汚い海に連れてきたのは、誰よッ
いいから、大輝も靴脱いでって!」
「嫌だって。
べたべたするし、汚いし、マジで嫌だ」



