30分。
1分も遅れる事なく大輝は家へ到着した。
1回も来た事がないくせに住所を教えただけで着いてしまうのはさすがだと思う。
車に乗り込むなり大輝の容赦ない毒が吐き出される。
「うわー、こんな家に人が住めんのか?」
運転席でハンドルを握る大輝は相変わらずといった感じで
相変わらず嫌な感じで、相変わらずかっこよくて、何かムカつく。
高級外車にお似合いの腕時計のダイヤが左手首にきらりと光る。仕事ではないからかカジュアルな服装をしているのだが、所々に育ちの良さが垣間見える、センスの良いシャツはきっとどこかのブランドの物だ。
悔しいけれどそれが似合ってしまう程容姿の良い男なのだ。
この男に好かれていながら、その申し出を断ったなど、全国の女子が聞いたら発狂してしまうのではないのだろうか。
「久しぶりに会ったのに失礼な事言ってくれちゃう。
家、つーかアパートだけどね」
「アパートだと?
こんなん犬猫も家畜も住めたもんじゃねぇだろ。
お前よくこんなところに住めるな。
ん?!!琴子、髪切った?!」
「いや、家の事よりも先にそっちに気づけよって話なんですけど~?
ど~う?似合う?バッサリいってしまいましたぁ~」
鋭い視線。細い目を更に凝らしてジーっとこちらを見つめる。
そしてすぐに前を向いてハンドルを握り「まぁいいんじゃん」と言った口元は少しだけ笑っていた。
「つ~かスッピンとか」
「だってお昼寝してるところだったんだよぉ?
それに30分で行くとか、自分勝手もいいところだよ、相変わらず~
女の子はお洒落に時間がかかるんだから~、ほんっと女ごころを分かってない。
それじゃあいつまで経ってもモテないですよ~?」



