【完】ボクと風俗嬢と琴の音


「あーはっはっはっはっはっはっ」


翌日
木村さんから引き継いだ取引先に向かう。
昨夜名刺の名前を見て、まさかとは思っていた。
同郷で同姓同名とか、ありえないだろって。そんな偶然…。
けれど、今目の前で大笑いをしているのは、紛れもない、琴音先輩だった。


当たり前の話なんだけど、あの頃よりずっと大人っぽくなっていたけれど、相変わらず学園のマドンナと言われていただけあって、美人だ。
黒いパンツスーツに身を包んだ琴音先輩は、あの頃のように明るい瞳をこちらへ向けた。 可愛らしいというよりかは美人って表現がよく当てはまる人で、でもよく笑う癖は全然変わってない。



「ほんっとびっくりしたってぇ~まさかって思うっしょや~」


所々に現れる北海道弁が心地よい。
笑った時の顔は高校生の頃と変わらない。
初めは綺麗で凛としていて憧れの存在だった。けれど付き合い始めてからは飾らないところが魅力の実にさばけた人だった。
それは今も、健在か。


「いや、こっちの方がびっくりしたっていうか…
昨日木村さんから名刺貰った時まさかと思いましたって…」


「イヒヒ。’ハルくん’何も変わってないんだもん~」


ハルくん。それは当時の呼び名で
懐かしさが胸の奥からいっぱいこみ上げてくる。