「ぜんっぜん!
大体人に押し付けるならもらうなっつー話だし。
でもねぇ…嫌いだったはずなのにこの子本当に小さくて死にそうだったの。
動物病院に連れてったらそこの獣医さんがたまたますごーく良い人でね、もう少し大きくなるまで無償で預かってくれるって言ってくれて
生死をさまよってたんだけど、うちに帰ってくる頃には小さいくせにピンピンしてんの。
嫌いだったからすごく嫌だったけど、わたししかいないから必死にわたしに懐いてくんの
そう考えたらすごく愛しくなっちゃって、おかしいかな?」
携帯の画面を見つめる山岡さんはすごく優しい顔をしていた。
「全然おかしくない。やっぱり山岡さんは優しい人だよ」
すると彼女は「へへ」と小さく笑って
雄猫なの、と言った。
「雄猫は雌猫より全然飼いやすいよ。
人懐っこいって世間的にも言われてるのは雄猫の方だし」
「そうなんだ~、通りで。お宅の琴音ちゃんは全然可愛くなかったものね
でもこの子はほんと特別。ちっちゃいくせに、わたしの事分かるみたいで毎日わたしの側で眠るの。
可愛くて仕方がないんだから。’たっまたま’ペット可のマンションに住んでて良かったわぁ~」
猫ちゃんも幸せだろう。
こんな美人で優しい飼い主に飼われて。
とろけそうな笑顔。山岡さんがこんなデレデレの笑顔を見せるなんて
猫の力、おそるべし。
そしてやっぱ猫とはいえ、相性つーもんがあるのだと、琴音と琴子を思い出していた。



