【完】ボクと風俗嬢と琴の音



「今日は話があって」


「うん、このデザートもおいしッ」


「山岡さん、俺やっぱり」


「でも、コンビニのデザートも美味しいんだよ」


「山岡さんとは付き合う事は出来ない」

 
お皿の上には、キラキラとしたデザート。
バニラアイスとチーズケーキ。
ベリー系の果物に紛れた真っ赤なソース。
山岡さんの、手が止まり、大きな瞳をこちらに向けた。


「別にこんな高価なレストランじゃなくてもいい。
あなたのあの家じゃなくてもいい。わたしはあなたに、もっと本当のわたしを知って欲しい。
あなたと一緒に暮らして、琴音ちゃんに好かれる努力もする。
琴子さんの代わりでもいい。一緒にいるのわたしじゃダメですか?」


大きな瞳から、涙が零れ落ちそうだった。
それを我慢しているのが分かったから、胸がぎゅっと苦しくなる。


「ごめん。
琴子の代わりは、この世界にはいない」


そう言うと、山岡さんはふっと笑った。
眉毛を下げて、目を線にして、それはとてもとてもやさしい笑顔だったと思う。