「ま~た、素敵なお店ですこと
晴人くんらしくない」
「ハハ、だよね。ちょっと選んで失敗しちゃったかなぁって思ってる」
「でも嬉しいけどね。誘ってくれただけで
それにしても東京ってすごい広いよね」
東京の街を一望できるレストラン。
窓から見えた東京の夜景は、どこを見ても光りで溢れていて
人工的ではあったけれど、それはそれで美しかった。
俺と山岡さんはグラスビールで乾杯して
山岡さんは「こーゆーところはジョッキがなくてビールを飲んだ気がしない」と笑いながら文句を言っていた。
汚い居酒屋でジョッキでビールを飲む山岡さんも素敵だった。
「東京は広いように見えて、実は狭い。
でもぎゅぎゅっと密集しているから、夜の街はこう見下ろすと圧巻だね」
「そうね。晴人くんの故郷の北海道はもっともっと大きいものね。
東京なんてすっぽり呑み込んでしまうわね…
いいなぁ、北海道行ってみたい」
いつかもそう言ってたはず。
パスタを一口食べると「んまぁ~ッ」と彼女は目を瞑りながら、右手で頬をおさえた。
飾らなくなった山岡さんも、前より全然良いと思う。美人とは何をしても最高で出来ている生き物なのである。
周りの男性客も山岡さんに目が奪われているのが分かる。
かつて、それに優越感を得た事があった。
誰もが振り向くような美女を連れて歩いているという。やはり俺はちっぽけな男だ。
人の価値を、そんな美しさや見た目だけでしか計れなかったなんて。



