「ハルはあたしにとって恩人のような存在です。
そんなハルの良い所をちゃんと分かってくれる、山岡さんのような女性がいてくれて良かった。
何て言うか、あたしが言うのも変だけど、ハルの事よろしくお願いします。
ハルにこんな綺麗な人勿体ないと思うけど」


「琴子さん…」



これでいいんだ。
これが望んでいた、最高の結末だった。
わたしは初めから、ハルと山岡さんが幸せになってくれればいいと思っていたのだから
だからいいの。
握りしめた指の震えはいつの間にか止まっていて、向き合う彼女から花のような笑顔が零れた。



キャットタワーの小屋から大きな黒目がちの瞳を覗かせる琴音が
音も立てずにずっとこちらを見つめていた。
その澱みのないどこまでも純粋な瞳はまるで’これでいいのか’と訴えかけてくるように瞬きひとつもせずにわたしを見据えていた。


これでいい。
何度も自分に言い聞かせた事だ。