「あ…あぁ…うん、そうかな…」


「山岡さんみたいな素敵な人逃したらハルなんかに次はもうないよ~?
振ったのにあんなに一途に想われるなんてもう運命だって」


「次はないとか失礼な奴だなー…」


「ハルみたいな男を好きになってくれる人なんて早々いないんだからぁ~
あたしは、応援するッ。
山岡さんにも謝っておいてね、お兄ちゃんをとられてしまうようで嫉妬してましたーって」


「あぁ…伝えておく」



ハルに次なんかない。
ハルみたいな男。
なんて素直じゃない言葉だろう。
でもわたしなりにハルと山岡さんの恋を後押ししたかった。

可愛くも、綺麗でもない。
それでも心くらいは、優しい女の子でありたかったから。
きっと願える。大好きなハルの幸せならば


だからもう大丈夫。側にいれなくても好きな人の幸福を願えることは、きっと幸せな事だと思えるから。



カレンダーは4月の終わりを告げようとしていた。
もう少しで、ハルの誕生日。

またあの夏が巡ってくる。
始まりを告げた夏が…
そして、終わりを告げる夏の始まりが。