【完】ボクと風俗嬢と琴の音


最初は、ハルと山岡さんの事応援してたのに
今はずっと辛かった。
もっと山岡さんが嫌な女ならば良かったのに。


お花見だってのに、遊びにきていた人たちはお花なんて大して見ずに
思い思いの時間を過ごしていく。
そこに咲いている薄紅の花が綺麗であればあるほど、自分の本音の汚さが滲み出てきて嫌になるんだよ。



 

ユカリが持ってきたバトミントン。
本来ならば1番にやりたいっていうくらいスポーツが好きなくせに
やる気も起こらなくて、お酒を片手に桜の木の下で皆が楽しそうにしているところを見ていた。



「アハハ~晴人くん下手すぎ~」


「スポーツはあんまり得意じゃないっつの」


キャッキャウフフ。
何かふたりは楽しそうだし、良い感じだし
女らしく見えた山岡さんは意外にスポーツ万能だし
さっきなんて頭の上に毛虫は乗ってくるし
パリピな奴らは大勢いるし
家族連れは幸せそうだし



何かむかつく。




そして

何て小さな女だ。背だけじゃなくて、器もさ。
背が小さいのであれば、せめて器くらいは大きくなりたいもんだけど
楽しそうにしてる山岡さんとハルを目の当たりにするとさ
拗ねたくもなるもんだ。