【完】ボクと風俗嬢と琴の音


「じゃあ、いいよ、俺が講師になって時たま教えてあげよう」


「きゃっ!先生よろしくお願いしまーすっ」



切ないけれど、君が笑ってくれるのならば
君の未来が幸福になる事を祈り続ける。

何気ない日常に君がいて
とても幸せだったのだから
君がいなくなった後も
幸せを願えるような男でいたい。






2月。

あっという間に過ぎていく季節。

1月は逝く
2月は逃げる
3月は去るってマジだな。



2月だというのに今年は暖冬で
時たますごく暖かい日があって、このままでは春があっという間に来てしまうんじゃないかと錯覚してしまう。

北海道の冬はとても長いから。



琴音の目はすっかり良くなって
前みたいにぱっちりとしたキュートな瞳に戻った。

そして相変わらず仕事は忙しい。



朝メールのチェックとディスクワークをして、外回り。
そしてまた午後からも取引先。
夕方会社に帰って来て、会議やデスクワークをして
最近は残業も増えたから、大抵琴子の方が先に帰っている。




でも琴子が姿を見せなかったあの2週間の恐怖はもう味わいたくなくて
笑顔で琴音と共に迎えてくれたら、1日の疲れも吹っ飛ぶほどだった。



一時期会社では飲み会で早瀬を殴った事が噂で流れて「暴君」と影で言われるようになった。
大人しそうに見えて、切れると怖い、とか
その話をしたら琴子は大笑いして
そして、木村さんは「意外にやるね」と不敵な笑みを浮かべていたのが印象的だった。



仕事は何だかんだやりがいが見えてきた。
毎日あんな繰り返しで楽しくないと思っていたのに…。


きっと、琴子のお陰だったんだろうなーと今になり思う。