「ニャー」


「これは…多分ウィルス性の物だと思う…」


「琴音目が見えなくなっちゃうの?!!うわぁぁぁぁん、そんなの嫌だーぎゃーーーー」


「見えなくなるわけあるか、馬鹿。
目以外は元気そうだな。
うちの実家の猫もなった事あるよ。元々体の中にウィルスっつーのがいて
ちょっと風邪ひいたりするとその症状が出たりするんだって。
目ヤニも酷いなぁー…
多分それかな、心配する事もないと思う。
明日朝イチで病院に連れて行って、目薬とか出して貰えると思うから」


琴音はハルの手から離れると、ネズミの玩具で遊びだした。
確かに目以外は元気そうだが、ぱっちりしたお目目が腫れていて、可哀想だ。


「そういえば何か鼻から鼻水みたいのも出てたよ」


「じゃあ…やっぱり猫風邪かな
ハァー、びっくりしたぁ…」


ハルはネクタイをゆるめて、リビングの座椅子に腰をおろす。


「よか…よかった…」


ぶわーと涙が零れ落ちて
きっと今の顔は琴音よりわたしの方がボロボロだろう。

ハルは小さく笑って、涙をぬぐった。



「あんな死にそうな声で電話してくるからびっくりしたよ。
つーか涙拭えって、すっげー顔してんぞ。
鼻水鼻水」


そう言って箱ティッシュを渡してきた。
ブーっと勢いよく鼻を噛むと、ハルは大笑いした。