「琴子さぁ!変わったよね?」


「え?そう?
変わりたくないんだけど…変わったらきっと…あたしは弱くなる」


あなたに出会って
わたしは自分が風俗嬢であるという事実が嫌になった。そしてきっと後悔した。
それは、きっと辞めたとしても一生残り続ける事実。
何年経っても、たとえ死ぬ時が来たとしても
わたしがお金で身体を売ったという事実は一生消えない。



消えないのならば、辞めたって同じことじゃない。
今更。
だからわたしはそんな悲しい感情さえも笑い飛ばせるくらい、強くなりたいとずっと願い続けていた。




「弱くたっていいじゃないの。
弱さを知らないと人に優しくは成れないじゃないの。

それに俺ー…前の琴子より今の琴子の方が好きだけど?」


「え?」


「何か生きてるー!って感じがする。
前までは何か投げやりっていうか、ヤケになってるーって感じがしたけどね
それは強さとは言わないよ」


「うるさい、枕ホスト」


「なっ、俺今良い事言ったつもりなんだけどッ
枕ホストとか悪口じゃん
傷つくわぁ~強いあなたがボクの弱い心をグリグリッとえぐるわぁ~」


「何だよ、それ、アハハ」