どうして俺は、この人の事をちゃんと見てあげられなかったのだろうか。
寒空の下で
いつ出てくるかも分からない男を待ち続けて
手を真っ赤にさせて
そんな優しさをいつも見落としてしまう。
どうしてワインが好きだと決めつけて
たこ焼きキーホルダーなんて全然好みじゃないなんて考えないで
ふわふわとして顔が可愛いという上辺だけしか見れなくて
「じゃあ!わたしはここで…
おやすみなさい」
ぺこりと頭を下げて
駅のホームへと消えていく。
人混みへ消えていく、彼女のストレートの長い髪を
風に舞うその後ろ姿を見つめていた。
琴子に謝罪しよう。
でも謝罪はただ口先だけで謝ったとしても意味を持たない事。
見落とさないように
きちんと考えて、反省して、心からの謝罪をしよう。
そうじゃなかったら、きっと意味がない。