’それは、わたしが、風俗嬢だから でしょうか’



あんな言葉を言わせたかった訳じゃない。
そんな事を思った事はない。
あれはただの子供染みた嫉妬だった。
その結果、彼女を傷つけた。
あんな顔をさせたかったわけじゃないのに。



そしてこの1週間。琴子は俺と全く口を聞いてくれなくなった。
と、いうかまともに顔を合わせる事もなかった。
遅く帰って来る日も増えたし、どこかへ外泊をする日もあった。
こんな状態でも、もしかして西城さんの家にいったのか?なんて思ってしまう自分には失望した。



なんて小さい男。
背だけは大きいくせに器は目の前で軽薄に笑うこの男よりも小さいのかもしれない。





「時に、井上くん」


「なんだよ、俺今から外回りなんだけど」


「今日、同期で新年会をしようと思うんだけどもー
参加しないかーしないよねー?
君って付き合い悪いしねー」


「あぁ行くわ」


「だよねーって、来るのか?」


「あぁ、優弥も参加するんだろ
後で場所送っといて。
じゃーー外回りいってきまーす」






ごめんも言わせてくれなくて
顔もまともに合わせられない。
自分が悪いのは分かっているのに…。
このままじゃあ時間だけがあっという間に流れていく。