15.晴人「汚い本音を晒すほど惨めな事はない」









死ねばいい。本気でそう思った。

つまらない嫉妬で、人を傷つける言葉を平気で吐けるような男は
死んでしまえばいいと本気でそう思った。



「新しょ~ひん~で~す」

下らなさで言えば、俺だってこの男だって大差はない。

「何だよ」


「別に…」


「相変わらず冴えない顔してんね~、お前は
これどう?今度売り出そうと思ってる新作。
従来のお菓子と同じ!いや、それ以上の美味しさなのに糖質50パーセントカットのクッキー!」


早瀬の目は相変わらずギラギラしていて
軽薄そうな笑みを浮かべながら、俺へと新商品のクッキーを差し出した。


「ああいいんじゃない」


口の中に入れたクッキーは味がしなかった。
というか、あの日以来何を食べても余り味がしなかった。


「なんだよーお前ー」


「ハァー」


「人の顔を見てため息つくなんて
失礼な奴だな!」



朝からメールチェック。
午前中も午後も取引き先回り。
お正月休みも終わり、溜まっていた仕事のお陰で余計な事を考えずには済んだ、けど
いつだってモヤモヤは消えやしなかった。