「別に、何も
掃除して、洗濯してー
いつも通り」


「ハハ、つまり暇だったって事だよね?
だから一緒に来れば良かったのにー。
大輝とはハルともいい友達になれると思うのにーー
お金持ちだけど、面白い人だよあの人」


「友達?」



ハハ、とハルが渇いた笑いを浮かべた。
ぴたりと手が止まる。


「琴子は友達ともそういう関係になるのか」



琴音の目、真ん丸。
緑色の瞳。
さっきまでビニールでガサガサと遊んでいたかと思えば
体を大きく膨らませて、キャットタワーへとジャンプした。

顔を上げてハルの方を向いたら、ハルは下を向いたままだった。




「何、それ」


「あの人、会社に来た。
わざわざ俺に琴子とあったこと、報告してくれたよ。
そんなんならもう付き合っちゃえばいいじゃん。そんなんで友達とか言っちゃってんの、俺は理解出来ない。
琴子にとってはよくある事なのかもしれないけど、全然理解出来ない」




あぁ

そういう事か。

そうね

きっと理解出来ない。

あなたとわたしは違うもんね。

元々として、生きる世界が




だからどんなに悲しくても
笑う事しか出来なくて
でもそれはキツイ。
いつもみたいに豪快に笑い飛ばす事はどうしても出来ないよ。
正しいあなたの言葉は、ちょっとキツイ。