残された俺と、優弥。
優弥は依然肩を落としたまま、やらかしたという感じで両手で口を覆っていた。
そして、ちらりと横目でこちらを見つめてきた。



「ゴメン。俺…無神経…」


ふぅーっと小さなため息を吐きながら、ソファーへと身を投げる。
決して優弥が悪いわけじゃない。知らなかったわけだから、ただ素朴な疑問を投げかけただけ。


「優弥のせいじゃないよ」


「でも…何か…。
絶対嫌な想いをさせた。

だって俺、今絶対変な顔してただろ?!」


「うーん……」


「風俗ってアレだよな。正直いますごくびっくりして、混乱してる。
全然風俗を差別してるって訳じゃないんだっ。琴子ちゃんは良い子だって俺だって分かるけど…
でも、一瞬何で?って思ってしまった自分がいる。…俺って最低だよな?」



なんて、真剣に言ってくるから
俺、こいつと友達やっていけてる気がするんだ。
人を傷つけることに真剣に悩める人間だから、良い奴だって知ってるんだ。


「それでも、琴子は琴子だから……
優弥も今までと何ら変わらない態度で接してあげたら、それだけで琴子は嬉しいと思う」


「お前さぁー…変わったよなぁー。

お前が、山岡さんと上手くいかなかった理由って」


言いかけて、優弥は言葉を止めた。


「山岡さんは俺にとって…綺麗なお花みたいな物。
手は届きそうな場所にはあったとしても、摘んでしまったら枯れてしまうような花。
高嶺の花だな」