「へーお前東京くんの?いつさ?」


「だから春っていったべや!!
ディズニー行こうって言ってるんさー
お兄も彼女誘っていこう~!」


「彼女なんていない」


「え~寂しい~ ママーお兄彼女いないんだってさー!」


「かーちゃんに余計な事いうなや。
まぁ何か元気そうで安心したわ…
あ!じゃあまた電話する!いま雑煮作ってるから」


「雑煮とかきゃはははは!
したっけね~!」


「お~したっけ」





お正月。
12月末から、1月の5日まで休み。
北海道帰省はしなかった。


琴子は琴音はわたしが見てるから帰っていいよ、と言ったけど俺は帰らなかった。
きっと、1日1日が惜しくなってしまってるんだと思う。
彼女と過ごす、タイムリミットの1日1日が……。






「ハル、あんたやっぱり北海道人とね~」


「は?何で?」


「家族との電話方言が出ていましたけど?
あたしの方言の事言う癖に、自分だって北海道弁でてるべー」


「知るか。出てないわ。
それに俺の住んでる地域は基本方言とかないしな。
浜とか言ったら結構意味のわからん方言話すけどさー」


「さーとかも北海道弁だべ?」


意地悪く笑う琴子を睨みつけると
トースターから焦げ臭い匂いがこみ上げてくるのに気づいた。