…いつも誰かに頼るとか、何とかなるって考えてしまった結果がコレだ。
本当は…もっとしっかりしなくてはいけないって分かっている。


いっつも流されっぱなしじゃいけないって。
きちんと地に足をつけて歩かなきゃいけないって
頭では分かっているのに。




それでも…
ひとりはやだよ。


猫のようにうれしかった事しか覚えていない生き物だったら良かったのに


ひたすら楽しい記憶だけを上書きしていって
優しい飼い主がいて
けれど野良猫だったのなら、わたしみたいな奴すぐに野垂れ死してしまうだろう。


でもわたしは人間だから
ひとりでも立ち上がって、何とか生きて行かなくちゃいけないわけで


どれだけ堕ちたとしても、底なんてない人生を歩いていかなくちゃいけない。








高橋 琴子 20歳。  風俗嬢。
たったいま、家を失ったばかり。



いつだって幸せを探していた。幸せが何かも分かっていなかったのに。


ひとりは嫌い。


寂しいし、冷たくて痛い。
でも誰かといたって、結局は人間はひとりぼっち。




大都会、東京。
ここにいたら空っぽなわたしでも、何かを見つけられる気がしていた。
自分からは動こうともせずに、誰かに幸せにしてもらう事しか考えていなかった。
けれど本当は分かっているよ。
幸せはいつも努力の上で成り立つもの。




そんな毎日の中で、わたしに少し似ているあなたに出会うのは
もう少し先の物語。