甘い。
甘いケーキ。

甘ったるい食べ物は苦手。
でもチーズケーキとカスタードは時たま無性に食べたくなるの。ほんの少しでいいんだけどさ。
そんな小さな事を覚えていてくれるハル。 きっとそんな小さなところを積み重ねて行って、段々好きになっていってしまった。



「今日食べれなかったら明日の朝も昼も夜も食べる」


「んじゃ、俺も食べる。
もったいないし

つーかユカリさんは良い人だな。美人だけども」


「ははっ。美人だけどもって」


「怖い感じの美人だけども、良い人だ。あの人は」


「うん、ユカリはすごく優しい、優しい人。
優弥さんも明るい雰囲気にしてくれてとってもいい人」


「優弥は会社のムードメーカーだし」



「会社、と言えば」




とまで言いかけて、聞いていいのか悪いのか迷った。

迷いが顔に出ていたのか、ハルは優しい顔しながらケーキを一口つまみながら言った。




「山岡さんの事?
優弥たちがいたから詳しい事は言えなかったんだけど
正確に言うと告白された」


「えぇ?!」


思わず変な声が出て、口からケーキが飛び出した。




「あぁもう、がっついて食うから。

当たり前のようにクリスマス一緒に過ごすってそういう事なんだって頭では分かっていたのに
女の子からあんな事言わせて、結局傷つけた。山岡さんに生涯恨まれても仕方がないと思っている」


「どうして?」


てっきりあの悪女が
ハルをこっぴどく振ったのだと思った。