けれど、何故か言えなかった。どうしても言えなかった。

先に口を開いたのは、山岡さんだった。
それを先に彼女に言わせてしまうなんて、俺はなんて情けない男だったのだろう。そしてどうして今日と言う日を迎えるまでに自分の気持ちに気づけなかったのだろう。



いや、気づいてはいたけど
認める事が出来なかったのだろう。


山岡さんは真っ直ぐに俺へと視線を向けた。
零れ落ちそうなくらい大きな瞳を、真っ直ぐに



「晴人くんはもうわたしの気持ちには気づいていると思うのではっきりと言うんだけど
わたしは、何とも思ってない人と、休日を過ごしたりしません。
ましてやクリスマスを一緒に過ごそうとも思わない。
わたしはあなたと過ごす時間の中で、少しずつあなたを好きになっていった…んだと…思います。
わたしは、あなたが好きです」




それは、本来ならば俺が言うべき台詞。
どうして彼女にここまで言わせるまで、気づかない振りを続けてきたのだろう。

誰にでも優しいのが、優しさっていうわけじゃないのに。

俺はゆっくりと頭を下げて、彼女から貰ったプレゼントを返した。
なんていう、情けない男の姿だろう。