【完】ボクと風俗嬢と琴の音


わたしは何故か、お母さんの声がすごく聞きたくなった。
あんなに連絡を取っていなかったお母さんの声を
そしてお父さんの顔が見たくなって、お兄ちゃんの教える高校に戻りたくなった。
やり直したくなっていた、人生を。



わたしは、風俗嬢ココを後悔していた。
ハルに出会って初めて。



マンションに戻ったら
入り口前に作っていた雪うさぎと雪猫は溶けて跡形もなく消えていた。
初めから存在しなかった物かのように。


無性に北海道に行きたくなった。でもそれは無理な話なので(物理的に)
頭の中で想像してみた。
一面銀世界の大きな雪畑の中で
ハルと一緒に大きな雪だるまを作って、そして朝起きてそれを見ている。
そんな起こる事がない未来を、夢見てしまった。



「そーいやクリスマスプレゼント何が欲しい?」


「え~?いいの~じゃあヴィトンのバック~今期の新作60万~」


「馬鹿言え。
何か……考えておきなよ

ふたつ」


「何故ふたつ?」


「何でもだよ」



「はいはい~何か考えておきますね~
ありがと~ござま~す」


「やる気ねぇー」



ハルが笑った。
欲しい物など、何もない。
クリスマスにわたしではない誰かと過ごす男から、欲しい物なんて何もない。
そしてクリスマスにきっとふたりは付き合うのだろう。わたしの誕生日が、ふたりの記念日になる。