ハルとは全然違う
強引で鋭い瞳
思わずハッとしてしまって、目が離せなくなるほど
そして彼はため息を漏らすようにその名を口にしたのだ。




「…………井上、晴人…………」




先に目を逸らしたのは
きっとわたしだった。


ふぅっと小さな息を漏らして、大輝は立ち上がり、ベルトを再び閉めた。


背中を向けた大輝は独り言みたいに呟いた。

 

「やっぱりあいつか……」




違う。喉元まで出かかって、止めた。

客観的に物事を見てしまえば、良い事なんてひとつもない。
知らなかった自分の気持ちにうっかり気づいてでもしまったら、それはそれで惨めで堪らなくなる。

ハルとわたしを繋ぐもの
見えない糸があったら良かったのに
それでもあなたの心はきっと繋ぎとめておけない。
あなたの心は、わたしの居場所には、きっとない。
どれだけ近くにいても、どうしても近づけなかったもの。




けれどこの日初めて他人に指摘されて、自分の気持ちをやっと認められた。
わたしはハルが好きだ。
多分、ずっと前から―――――