【完】ボクと風俗嬢と琴の音


「何時に帰ってきたの?!
もしかしてヤっちゃったぁ?!」


「バッカ!!んな訳あるか!!
22時半には帰ってきてたよ。
彼女を家へ送って行ったから少し遅くなったんだ。
食事しただけだよ!」


「なーんだ」とつまらなそうに琴子が言って、それでもニヤニヤと笑いながら俺を茶化した。


やっぱり昨日の事は覚えていないようだ。
それならば言わないでおこう。
変にお互い意識してしまったら、今の関係が崩れてしまうかもしれないし。



関係が、崩れる…?
自分で言ったくせに疑問に思った。

そもそも俺たちの関係ってなんだろう。
家族ではないし
友達でも実際はない。
ただの同居人。
実際はただの他人だ。

どちらかが家を出て行けば、もう会う理由なんてない
ただの他人。お互いに事情があるもの同士たまたま一緒に暮らしているだけの。




「でさー」


「ん?!何?」


「もぉー何ぼーっとしてんの?今日変だよ?
昨日の熱がまだ覚めねぇのかよ!」