【完】ボクと風俗嬢と琴の音


控えめな茶色の長い髪と
秋らしい色のひざ丈のワンピース。
シンプルなネイルで、大きな瞳と小さな口。口元にはピンクの可愛らしい口紅。
俺には勿体ない程の理想的な女性で
口下手な俺の話をずっと笑顔でうんうんと聞いてくれた。



ただ


大阪お土産のたこ焼きキーホルダーをあげた時
少しだけ彼女の表情が曇った気がした。
でもすぐに笑顔になって「嬉しいです!」と笑ってくれた。
だからあれは気のせいだと思いたい。


だけど冷静に考えれば、あのお土産は山岡さんの好みではなかったかもしれない。
何を根拠に喜んでくれると思ったのか。あの時の自分をぶん殴りたい。




山岡さんへ返事を返そうと携帯を弄っていると急に睡魔が押し寄せてきて
きっとそれは慣れないワインを飲んだせい。
携帯を握りしめたまま、いつの間にか眠りに着いてしまっていた。