【完】ボクと風俗嬢と琴の音


本来のラッシュ時よりかは空いてはいるはずなのだが
人の体と揺れたら当たってしまうくらいの感覚で
両手を上げて痴漢に間違われないように警戒。
男というだけで冤罪を擦り付けられる時代だから、いつだって油断出来やしない。



人より大きい体。


車内をぐるりと見回すと
言い合いをしている声が聞こえてきた。
都会ではよくある話で、誰もが無関心を装って、出来るだけもめ事には関わらないようにしている。
でもその姿を見て、思わずギョッとしてしまった。



「ちょっと!!!席譲りなさいよっ!」


「はぁー??何アンタ」


柄の悪そうな若者が耳につけていたヘッドフォンを外して凄んでいる。


「ねぇ、見えないの?!目腐ってんじゃないの?!」


そしてその若者に何かを訴えかけているのは…あれは
琴子だ。
小さい癖によく目立つ金髪の髪。
ぐるぐると巻いたその髪と、露出の多い恰好。
小さくても派手だから、すぐに分かる。





「あのー…大丈夫ですから…」


琴子の後ろには、20代後半の女性が申し訳なさそうな顔をして立っていた。
琴子は自分より大きなその女性を守るように立っていて、目の前の若者へと文句を言っていた。

周りは関わりたくないと言った感じでサーっと人気がひいていく。

すぐに気が付いた。

その女性の持っているバックに妊婦のキーホルダーがついている事に。