「それに関しては本当に不思議だと思ってるよ。
本当に琴子がいてくれて良かった」
ハルの横顔。
笑っていて、陽の光りを浴びていてよく見えなかったけど
わたしがいて良かった、と優しく微笑んでいる。
その横顔を見て、一瞬ドキッとした。
大きな目を細めて、こちらを向いてにこりと微笑む。
首を上げて、一瞬その笑顔にボーっと見とれてしまう。
そして直ぐに、ぷいっと横を向いた。
本当に琴子がいてくれて良かった。
それは別にそういう意味じゃなくて…琴音がいるからって事だもん。
なーに照れちゃってんだか、ほんと馬鹿だなぁあたし…。
ハルは…琴音がいるからわたしを必要としてるだけだし…。
話を変えるように明るく笑って、ハルの顔を見上げる。
「あ!そういえば昨日ユカリと飲みに行ったんだけど
ユカリさー…優弥さん?ハルの友達の事マジみたいなんだよね?!」
「え?!マジで?!
俺もユカリさんの話はよく聞くから!」
「でもユカリは、キャバ嬢なんて相手にしないよーって珍しく自信なくしてる。
ユカリって元々普通のサラリーマンと付き合うようなタイプじゃなかったから、びっくりしたんだけど!」
「じゃあ、あいつら両想いって事?」
「そういう事!!!
何とかしてあげたいけど…
うちらが余計な事したら…うちらの関係の方が突っ込まれそうだよね」
「あぁーーー…。
優弥ちゃらそうだけど意外に慎重派だからなぁー…」
「まぁーハルは、人の恋愛の心配なんてする前に自分の恋愛何とかしなきゃだけどね…」
「う……痛いとこつくな」
「もぉーーー!!女の子は少しでも気のある男じゃないとご飯の誘いに乗ったりなんかしないんだからね!
来週頑張る事!!!」
バンっとハルの大きな背中を叩くと
「いったぁー!!」とハルは大袈裟に痛がる振りをした。



