どうやら本当に矢島悠斗は忘れてたらしい。
モノクロの写真がプリントされたTシャツが、潮風に揺れた。
「なんだよ、新藤も加納も友達がいのない奴らだなあ。メールぐらい寄越してくれてもいいのに」
新藤くんと加納くんは、矢島悠斗の近くの席の男子だ。
「二人とも今日は来てなかったよ」
「げ、本当?それならどうしようもないや」
矢島悠斗は諦めたようにため息をついた。
「本当に忘れてたんだね」
「うん、本当に忘れてた。でもまあいいや。いまさら悔やんだところでどうしようもない」
うんうん、矢島悠斗は自分を納得させるようにうなずいた。



