それは、寿人が小学生の時に行った林間学校でのこと。 海辺の近くだったその場所は、昼間でもどこか静けさが漂う不思議な所だったらしい。 夕方の散歩の時間、ふざけて寿人は、防波堤に登った。なかなかよじ登れない同級生を尻目にさらりと立つと、10メートル程先に海を見つめる女の子を見つけた。 「なんかあんまり邪魔しちゃいけないみたいでさ」 でも少し気になって、女の子を見ていたらその子と目があった。