「寝れてないって…テスト勉強で?」

ユウトは小さく首を横にふる。

ならなおさらあたしはいない方がいいんじゃないだろうか。

あたしの考えを察したようにユウトは言った。


「サナがいてくれた方がいい」

「ユウト?」

ユウトは握っていた手に力を込めると、そっと上半身をあたしに近付け、そして、キスをした。


ユウトとキスをするのは、もう何度目だろう。あまり慣れなくて、いつも、少し冷たい唇にドキリとする。あたしは目をつぶる。

さっきユウトが飲んだコーヒーの香りが強くなる。ユウトの圧力というか、重みがだんだんと大きくなり、あたしはカーペットに背中をついた。

唇を離したユウトは、思い詰めたような、困ったような、妙な顔をしていた。

眉間に寄ったシワを撫でると、ふと顔が緩む。


「いいの?」


ユウトは言った。あたしはなんと答えていいのかわからずに視線を少しさ迷わせて、頷いた。