「まだついてるな」

俺は華顔を両手で包む。そして、自分の顔をゆっくり近づけた。夏祭りの喧騒が消えて、二人きりの世界になる。

ペロリと俺はクリームを舐めていく。俺の舌が肌をなぞるたび、華から甘い声が漏れるのがわかった。だからこそ、止められない。

クリームはとても甘い。でも、おいしい。華の食べているものだからおいしいんだろう。

「よし、取れたな」

俺がクリームを全て舐め、顔を離すと華の顔はいつもよりさらに赤くなっていた。まるで初めてキスをした時のようだ。

「そ、外でこんなことするなんて……。倒れるかと思ったよ!」

真っ赤になって震えている華が可愛くて、また同じことをしたくなる。でもそれを言えば怒ってくるんだろうな……。

華は俺に警戒しているのか、今度は慎重にクレープを食べ始めた。それを見ていて俺もクレープを食べてみたくなる。この生地はどんな味なんだろう。生まれてから、一度も食べたことなんてない。