俺は躊躇うことなくアイスクリームを一口食べた。甘い。甘ったるい。普段は気持ち悪くなるんだけど、なぜか気持ち悪さはなかった。むしろ何だろう。おいしい?

「……お前、よくこんなの食えるな」

俺がそう言うと、やっと気付いたのか華の顔は真っ赤に染まっている。そうそう、そんな可愛い顔も見たいんだ。

「反則じゃん……」

華の呟きを聞いて、俺は意地悪が成功したことにニヤリと笑った。



それから数日後、学校では夏休みの話で盛り上がっている。確かに、楽しみだ。

「ねえ、夏祭りがあるんだって。一緒に行かない?」

華にデートに誘われ、俺は予定を確認して「行こう」と頷く。夏祭りなんて小学生以来行けてない。夏休みの前に楽しみなことが増えた。

そして当日。俺は浴衣を借りて待ち合わせ場所にいた。浴衣を着るのも久々で、洋服とは違う着心地が慣れない。下駄の鼻緒で足を痛めないといいんだけど。

「お待たせ。ちょっと支度に時間かかっちゃった」