桜もすっかり散り始め
地面が花びらで絨毯がひかれたように
ピンク色に染まっている。

今日は、新学期初日。
生徒たちは久しぶりの学校に
期待膨らませてソワソワしている。

そんな中、
私、白原麻那は浮かない顔をしていた。

ーーートンッ

急に後ろから肩を叩かれる。

「おはよー!麻那!
 新学期から顔が死んでるよ??」

そう言って話しかけてくるのは
黄羅 みかこ(おうら みかこ)だった。

私とみかこは10年以上の
付き合いで幼馴染。

私とみかこは対照的で

私は物静かで地味なのに対し
みかこは活発でスタイルもよく美人で
目立つタイプだった。

「お、おはよ…みかちゃん…
だって、クラス替えが嫌で…」
「なんで???」
「なんでって…
私、みかちゃんと離れちゃったら
話せる人いないよ…?!」

私は極度の人見知りで、学内で話せる人が少ない。
幸いにも1年生の時には、みかこと同じクラスだったため孤立することもなく友達もいた。しかし、新たなクラスになった時に1人で友達か作れるかと言われると私には難しかった。

「やっちとか今年同じクラスだった人は
喋れるでしょ?」
「いや!無理だよ!?
みかちゃんがいてくれたから皆と喋れたけど、1対1じゃ喋った事ないし…それに、みんなは他に友達作るだろうから…」

「そう?入れてもらえばいいじゃん?」
「無理だよ!?」
「なんで???」
「それは…」

友達はいたけど、それは
みかこと友達になりたかっただけで、
やっちや去年のクラスの友達とは
実は連絡先ですら交換していなかった、

私が答えないでいると

「そっか…?じゃあ、祐樹は?」
「もっと無理!!!!」
「まぁ、私たち高校入ってからは祐樹と
全然話してないもんね…」

赤岩祐樹(あかいわ ゆうき)
私とみかこの幼馴染。
私の家を挟んで、私と祐樹とみかこの
家は並んでいて、中学校まではよく遊んでいた。
しかし、祐樹はサッカー部に入部し
強豪校であり、祐樹自身も全国的に有名な選手であったため部活三昧で全く話さなくなってしまった。

私もみかこも
祐樹の邪魔をしたくなかったので
話しかけずにいたところ
なんとなく気まずくなってしまった。

「まぁ、私も麻那と同じクラスだと
いいなとは思うよ!」
「ほんと…?」

みかこは頷くと
そのまま私の腕をつかんだ。

「気になるなら、早く行こっ!」
「ちょ!みかちゃん!」

みかこは私の腕をつかんだまま
走り始めた。