華から全て聞き終えて、柚果は立ち尽くしていた。

『お前も、やっぱり違ったって言うんだろ?』
あれは彼女のことだったんだ。
海斗はまだきっと、彼女のことが好きなんだ。

「華さん! 拓馬くん!ありがとう」
柚果は二人に背を向けて走り出した。

海斗に伝えたい思いを胸に。

「あのっ、海斗はいますか?」
ホストクラブになっている教室へ駆け込むと、柚果は受付の先輩を捕まえて尋ねた。

「あっ、君か。何だったの?あの後海斗の機嫌最悪だったんだよ。……お客さんは俺様風な演出だって、逆に喜んでたからよかったけど。今から休憩だから、着替えて出てくると思うけど」

先輩が視線を向けたカーテンからは、ちょうど制服姿になった海斗が出てくるところだった。

「海斗! 」と呼び掛けると、ばつの悪そうな表情になって、「さっきは悪かったな」
なんて言う海斗を、柚果は引っ張った。