「私の両親ね、再婚なの。本当のお父さんとは離婚して、うちにはお母さんしかいなかった。あいつのお母さんは早くに死んじゃって、あいつにはお父さんしかいなかった。

二人は医者で、同じ病院で働いてたの。

小さな頃から片方が遅くなる日は片方が二人を迎えに来て、当直の日はどちらかの家に泊まる。いつも一緒にいるのが当たり前だったの。
中学生になって、あいつに告白された。
私も大好きだったから、私達はつき合うようになったの。

お父さんにいつも一番でいろって育てられたあいつに、私はいつも言ってた。
私の一番は……海斗だよって。
それなのに……私……」

再び止まらなくなった涙が、砂に落ちて吸い込まれていく。
強い風が吹いて桜が舞った。

拓馬は思わず華の頭に掌を載せる。
「無理しなくていいよ。ゆっくりでいい」

華は拓馬のジャケットを握りしめて、うつむいたまま続けた。
「中学生二年生の時、私達がつき合ってるなんて知らなかったお父さんとお母さんが、再婚したいって言ったの。

海斗は反対してた。でも……。私は気付いたんだ」