2年生の教室の前の廊下にたどり着くと、女の子の行列が目に入った。

「あれ、何のクラスかな?」
柚果と鈴花が顔を見合わせる。

「わたし海斗にする!」

「でも海斗は一番人気で30分待ちだって。どうする?」

「えー、やっぱり。でも海斗が一番格好いいよねー」
女子の黄色い声に近付いてみると、クラス前の大きなパネルには、スーツを着た十数人の男子の写真が並んでいた。

その中には海斗の写真もある。ニコリともしていない冷たそうな表情の海斗は女子の目を引くには十分な整った容姿をしていた。
「ホストクラブtwo-three、ドリンク一杯で2分、料理一つで3分、お好みのホストがお席につきます。運がよければ連絡先もゲットできるかも?何これ!?」

大声を上げた柚果に、スーツ姿の先輩が気まずそうな顔を向けた。

「あー……君、海斗の……、また休憩になったら来てくれない?じゃあ、ね」