春学恋愛部

体育祭の帰り道。
いつもに増して無口な海斗。

柚果はどうしたものかと、当たり障りのない会話で場をつなぐ。
教室での強引なキスもあったし、友達に愛されてる、なんて冷やかされたから余計に意識してしまう。

「家……寄ってく?」
いつもの分かれ道にあと数歩、というところで海斗が口を開いた。

「えっ……あ……」
どうしようかと迷う柚果。
もちろん嫌な訳じゃないけれど、心の準備が出来ていなかった。

「なに緊張してんだよ。何もしねーからさっさと来いよ」

「……うん。海斗がいいなら…行く」
今の海斗の言葉は信じられる。

それに、海斗が本当は何を考えてるのか、もっと彼のことを知りたい。
ドキドキが加速するのを感じながら、柚果は頷いた。