春学恋愛部

「最終種目、クラス対抗リレーに参加の方は…」アナウンスが流れる。

海斗も、柚果も参加の競技だ。
「戻るぞ」と素っ気なく言って、海斗は先に歩き出した。

どうしよう…ドキドキが止まらないよ。
ふわふわした頭で、柚果はおぼつかない足取りでついていった。
リレーの準備でクラス毎に集まる。

柚果のクラスは、残念ながら順位が高くないので、順番待ちの間も皆のんびりしている。

「ねぇ、柚果。さっきのロミジュリ見てたよ!愛されてるねー」
友達に冷やかされ、柚果は全身の血が頬に集まったんじゃないかと思うくらい熱くなる。

「あたしの彼氏2年3組なんだけどね、ホントはロミジュリ、他の子が出るはずだったんだって」

「え……?」と柚果が首を傾げると友達たちが囃し立てた。

「柚果、鈍いね!先輩柚果の為にわざわざ、代わってもらったんでしょ!

よっぽど柚果のこと、誰にも触らせたくないんだね。
いいなぁ、ラブラブでー!」

本当に……?
海斗そんな風に思ってるのかなぁ。
でも、もしそうならすごく嬉しい。
そう思いながら、柚果は反対側で、リレーの出場待ちをしている海斗を見つめる。

海斗は視線にはは全く気づかず、クラスの友達と騒いでいる。
たすきをかけているところを見ると、どうやらアンカーのようだ。