春学恋愛部

一瞬怒った顔を目にしたような気がしたが、とりあえずゴールに向けて走り出す柚果。
少し前には、メイド服を着た鈴花が走っていた。

「鈴花ちゃーん！可愛い～！俺だけのメイドになってー！！」

男子からの声援を浴びて鈴花がゴールして、そのまま正樹のところへ走っていく。

「ヒューヒュー」
冷やかされて真っ赤な顔をしながらも、正樹は嬉しそうだった。

柚果も何とか、2位でゴールする。
走っているときには気付かなかったが、柚果にも声援があったようだ。

「柚果ちゃーん！また痩せた～？可愛い～！！」

柚果は驚いて頬が熱くなる。
柚果の部屋にあった服は、胸のあいたノースリーブのタイトなロングドレスだった。

以前の柚果なら完全にアウトなデザイン。
明らかに露出が激しすぎるが、誰が選んだのかは不明だ。

柚果が自分の衣装をまじまじと見つめていると、肩にバスタオルがかけられた。
驚いて振り返ると、いつの間に移動したのか不機嫌そうに海斗が立っている。

「ちゃんと隠しとけ」
それだけ言って海斗はコースに戻っていく。

「先輩ってば、独占欲強そうだね～」
戻ってきた鈴花が、ニヤニヤ笑っていた。