待ち合わせはいつもの曲がり角。
珍しく早く着いた柚果はオレンジ色の眩しさに顔をしかめた。

目がくらんで向かいから歩いてくる人の顔もよく見えない。

だけど彼女は知っている。

隣を歩くとポケットのストラップが揺れてカチャカチャと音を立てるあの人。

独占欲が強くて自信家で、誰よりも努力家で、照れ屋な彼。

初めてこの場所で目にしてからずっと、柚果の唯一の人。海斗だということを。