息苦しくなるぐらいの激しいキスの後で、ゆっくりと身体を起こしながら海斗が切り出した。

「なぁ、テストが終わったら、親父の病院のクリスマスパーティ、一緒に行かねぇ?」

海斗の父親は現在中規模病院の院長をしていて、毎年家族も参加のクリスマスパーティがある。「海斗はもう、何年も参加してないんだよ。私は毎年行ってるけど。院長の息子が参加しないってのもよくないし、今年こそは行ってくれたらいいのにね」
柚果は華が言っていた言葉を思い出す。

文化祭以来、華と柚果は二人で出かけることもあるくらいに仲良くなっていた。

中規模病院だと行っても大きなホテルのパーティ会場を貸し切って行い、参加者は300人以上のものだ。華は拓馬と行くと言っていたけれど、柚果はまさか自分が誘われるとは思っていなかった。

「私が行ってもいいの?」

柚果の言葉に、海斗は不機嫌な声で、ぼそりと呟く。
「同じこと何回も言わせんなよ」

こういう海斗の態度は柚果にとっては慣れたもので、「はいはい」なんて軽く流せるようになった。

そんな彼女を横目に急に真剣な顔になった海斗は、ソファに腰かけたまま俯いて話し始めた。
「俺が一人暮らししてる理由、ちゃんと話したことなかったよな」